前篇の「ビストロ・アニメシ、肉を求めて遠出する の巻」をお読みでない方は、まずはコチラ!
~松阪牛のすき焼きに、これを入れるのかッ‥!? の巻~

はるばる松阪へ行き、松阪牛を手に入れた当ビストロ。
お肉を冷蔵庫から取り出し、常温に戻しておきます。
油がたっぷりで、暖かすぎると溶けてしまうので注意!

長ネギは細く斜め切りに。

お豆腐は食べやすい大きさに切ります。
すき焼きの味がよく染みるよう、豆腐は木綿豆腐か焼き豆腐です。

木綿豆腐の場合は、下茹でをするか軽く炒めておくと煮崩れしづらくなります。

ごぼうは洗って泥を落とし、皮を削ぎます。

太い場合は切り込みを入れておきます。

ささがきにしていきます。

ごぼうは旨みたっぷりなので、あまり水にさらさなくてOK。

人参は輪切りにし、下茹でしておきます。

椎茸は石づきを取ります。

味が染みるように、包丁で切込みを入れます。

春菊は根本数センチを切り落とします。

しらたきは下茹でが必要な場合は下茹でして水をきります。
最近では下茹で不要のものもあるので、その場合は軽く水洗いをしてざるで水気を切っておきます。

食べやすい長さに切り分けます。

あとは、醤油と砂糖を準備すれば、これで材料は出揃いました。
と、言いたいところですが‥

今回はここにビールがプラスされます。
不思議なもので、すき焼きをつつきながら飲むビールは魅力なのに、これを入れるとなると抵抗が生まれます。

意を決して、いざ調理開始です。
温めた鉄鍋に、牛脂をいれます。

牛脂が溶けてパチパチとはじけてきたら、お肉を入れる頃合いです。
まずは一枚、牛肉を焼き始めます。

箸で掴んだ時から感動モノの、この大きさ!

ジュウジュウと景気の良い音が鳴ります。

このまま生で刺身でいただくことも出来る新鮮さなので、火は通しきらなくて大丈夫。

お肉を引っくり返したら、すばやく二枚目のお肉を用意しておきます。

火が全体に通りきってしまう前に、一枚目のお肉をくるくると巻いて端に寄せます。
その間に二枚目のお肉を焼き始めます。

二枚目のお肉も火が通りきらないように焼いていきます。

二枚目のお肉が焼けたら、一枚目と同じように巻き畳み、一枚目を上に乗せます。

同じ要領でお肉を焼いては乗せていきます。

お肉を焼ききったら、醤油を注ぎます。

砂糖をまぶして味を見ます。
醤油や砂糖、おこのみで昆布のだし汁・酒を加えて味を整えます。

味が整ったら、お肉にまんべんなく染み渡るようにお肉を広げます。

お肉以外の具材を入れていきます。
ネギはお肉の側に。

しらたきはお肉に近いとお肉を固くしてしまうので、椎茸にネギでブロック。

隙間も筍とごぼうで鉄壁にして、抜かりなくします。

春菊は火の通りが早いので、他の具材の上に乗せておきます。

鍋を揺すって具と具の間に隙間を作ったら、豆腐と人参も加えます。

最後に上から醤油を注ぎ‥

砂糖をまぶします。

野菜から水気が出るまで、蓋をして弱火で煮ます。

辺りにはお肉とたくさんの具の旨み、醤油の香ばしさが混ざった良い匂い。
グツグツという音がまた、心を踊らせます。

野菜に火が通ったら、まずは普通のすき焼きの出来上がり。

目の前には、醤油と砂糖、そして野菜の旨みを吸った大きな霜降りのお肉‥
松阪牛に、まさかここでお目にかかれるとは!と、喉がゴクリ。

溶き卵にさっとつけて、まさにアニメの中で見るような大きなお肉をいただきます!

がぶっと口に入れたにも関わらず、ほぼ半分が口に入りきらない。
そんな素敵な状態に、自然と笑みがこぼれます。
もう、もう‥あまりの旨さに、ここで大満足です。
噛んでいるうちに、いつの間にかとろけてしまう脅威の口溶け肉。
柔らかいだけでなく、噛む度に口に広がる脂身と牛自体のミルクのような甘さ。
きめ細かく入ったサシなので、たっぷりの脂も、くどくなんて感じません。
恍惚とし、幸せのため息をついてしまいます。
その美味しさは、松阪牛に携わった全ての人、牛に祝福をしたくなるレベル。
こんなに美味しいものを食べて、それが自分の血となり肉となったら、なんだか自分まで素敵になれそうな勢いです。
それほどまでに美味しく、人を平和へと導く松阪牛の脅威の大宇宙パワー。

そして遂に決戦の時。
この素晴らしいすき焼きに、ビールを注ぎます。

次元のようにためらいなく、ジョボジョボと勢い良く行きます。

「あ!やめろよ」というルパンの気持ちに共感するも、時すでに遅し。
ひとまず、箸で軽く全体を馴染ませ、一煮立ち。

アルコールが飛んだら出来上がりです。
醤油の色がビールの琥珀色に薄まり、見た目は綺麗です。
さっきまでと違い、匂いはほぼビール。

麦の香りに包まれた松阪牛を、卵にからめていよいよ実食。
果たしてビールは吉とでるか凶と出るか‥

口に入れた瞬間、かすかにビールの苦味が香りましたが‥
噛んでいくうちになくなる口溶け、肉本来の甘さ、醤油と砂糖の染みこんだ味わい、何もかも健在です!
松阪牛の損失は無く、無事美味しさを確認しました。
むしろ、煮詰まって少し味が濃くなっていた全体を、ビールが薄めて味を落ち着かせています。
麦の味わいが、味付けの角をとり出汁の役目を果たしているようです。
「このほうがコクがでるんだよ」という次元の言葉は、あながちデタラメではないようでした。
確かに、全体にカラメルのような麦独特の風味がついて、味の輪郭がはっきりします。

本来はビールを入れることでお肉を柔らかくする効果が期待できるのですが、今回は元々柔らかいお肉なのでそこについては不明のまま。
もしかして、ルパンも「せっかくの良い肉なのに」という気持ちがあったのかもしれません。
美味しいお肉は不思議と丁寧に扱いたくなるものです。
当ビストロも、「松阪牛の旨さは無敵!」と松阪牛に夢中で、細かい味の分析などすっかり忘れてしまっていました。
気がつけばお肉は完売。
今回はどうしても脇役になってしまいましたが、肉の旨みとビールのコクが染み込んだ野菜もおつなお味でした。
最後にうどんを入れて〆に食べようと盛り上がっていたのですが、そんな胃袋の余裕など皆無。
ルパンと次元が取り合いをするのも、五エ門が黙々と肉だけにこんなに夢中になるのも納得な最高の一品なのでした。
この旨さは、食べているうちに「ビールを入れる入れない」はすっかり忘れて無心になってしまいます。
作中のように不二子ちゃんが乱入して来ず、最後までお肉を頂けて幸せ!な回なのでした。
とにかく松阪牛は旨かった!
■□■□ 今回使用した調理アイテム ■□■□