ニナのお母さんが作るレモングラスクッキー 前編

〜クッキー、それは王道で難所 の巻〜

今回は松浦だるま著の漫画「累」の6巻に登場する一品です。

「累」は美醜がもたらす人生への影響、そして足掻きを描いた作品。

主人公は、類まれなる美貌と演技力で伝説となった女優「淵 透世」の娘である累(かさね)。
累は、母の美しさが嘘のような醜女です。

「母があの淵 透世なのが信じられない容姿」だと嘲られ、幼少期からいじめられる毎日。
醜いから父親に捨てられ、唯一頼れる母も亡くなった。

彼女の周りには、彼女を疎ましく思う人間しかいません。
誰からも愛されず、存在するだけで忌み嫌われる生活が続くなか、彼女に転機が訪れます。

それは小学校の学芸会のこと。
美しく意地の悪いクラスメイトから、「母親が女優さんなんだから、伝説の女優の子のシンデレラが見たいです」と吊るし上げ目的に主役に仕向けられた累。

彼女のなかのプライドが断ることを許さず、彼女は自分を笑う人々を見返す為に一生懸命練習します。

生れながらの才能か、それとも、醜く生れた為に渇望する明るい世界への執念がそうさせるのか、彼女の演技は神がかったものでした。

それでも、そんなものクラスメイトは望んでいない。
美しい者のたった一言で、つかの間の幸せは終わりを迎え、みじめな毎日に元どおりする‥

そのはずでした。

「口紅をぬって あなのたのほしいものに くちづけを」

亡き母の言葉を思い出した時、彼女は恐ろしい魔法を手に入れます。
母が遺した口紅をつけてくちづけをすると、相手の顔を奪うことが出来るというもの。

彼女は自分の醜い姿を捨て、美しい誰かになることを心に決めます。
でも、それは誰かの不幸の上に成り立つもの。そして、母の美しさもまた、誰かの不幸のもとに成り立っていたという因果が物語をより深い闇へと誘って行きます。

今回のクッキーは、そんな口紅の犠牲を受け、真相に近づく野菊という女性が食べたもの。
野菊は偶然にも、累が顔を借りているニナの母親と知り合います。

野菊がニナの母親にもう一度会いに来た時、「ちょうどクッキーを焼いていたの。甘いものは好きかしら?」ともてなされたクッキー。

野菊は「自分の母も生きていたらこんな時間を共に過ごすことがあっただろうか」と思い、また、ニナの母も娘を思い、悲しげな空気になるシーンです。

香りがよくてハーブのよう、と聞く野菊に向かって、「レモングラスがはいっているの」と教えてくれたニナの母。

サク、という音が想像力をかきたてます。
上品で優しげなお母さんの作るクッキー、是非食べたい!

ということで、調理スタートです。

【用意するもの】
003
バター、砂糖、薄力粉、牛乳、レモングラス

006
鍋に牛乳とレモングラスを数枚入れ、煮立てます。
数分、冷ましがてら蒸らして、レモングラスの香りを出します。

009
牛乳の粗熱が取れるまでに、薄力粉は泡立て器でかき混ぜてきめ細かくします。

010
残りのレモングラスを割いて、

011
ハサミで細かく刻みます。

018
刻んだレモングラスを薄力粉に加えて混ぜておきます。

016
常温で柔らかくしたバターに砂糖を加え、すり混ぜます。

019
薄力粉のボウルに、バターと牛乳を加えます。

混ぜる前にクンクン、と匂いをかぐと、レモングラスの香りがバターに隠れちゃっていて感じられなくてちょっと不安に。
焼きあがった香るかな?足したほうがいいかな?

足すなら混ぜる前の今。でも、上品に香る程度が良いし‥とちょっと考え込んでしまいます。
どうか無事に美味しく仕上がりますように!

次回、「サクッとした食感が大事」の巻に続きます。

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