カテゴリー別アーカイブ: ペーター・キュルテンの記録

第2弾 最期のカツレツ 後編

前篇の「食べるということ」の巻をお読みでない方は、まずはコチラから!

~おかわりをねだる心境 の巻~

あとは衣をつけて揚げるだけ!というところで、パン粉の比較をしてみました。
両方とも、パルメザンチーズとオレガノを加えた状態です。

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こちらが日本のパン粉を細かく摩り下ろしたもの。
見えづらいですが、とてもキメが細かく、ふんわり・しっとりとしています。

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こちらがドイツのパン粉。
パン粉一粒一粒が丸く、日本のパン粉に比べて粒が硬めでサラサラとしています。

という訳で、目で分かる違いがあることに感心しつつ、衣をつけていきます。

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こちらは日本のパン粉バージョン。

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パン粉が水気を吸いやすいようで、衣をつけ終わった状態を触るとしっとり滑らかです。

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そしてこちらがドイツのパン粉。

不思議なことに、日本のパン粉に比べて吸着力が良いです。
卵の黄色がすっかり隠れてしまうほどぴっちりと、衣がつきました。
触り心地は、ザラザラと硬いです。

この違いが一体出来上がりにどう影響するのか‥

いよいよ仕上げです。

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バターをフライパンに落として、香りづけ。

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サラダ油を注ぎます。

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衣を落として、すぐに浮いてきたら揚げ時です。

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端からそっと浸し、落とし入れます。

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あとは両面を3~4分揚げ焼きして、こんがりキツネ色にします。

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両面揚げ終わったら、バットに置いて余分な油を落とします。

あとは最後にレモンを添えて‥

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出来上がり!

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ちなみに、これが日本のパン粉で作ったカツレツ。

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そしてこれが、ライマーのパン粉で作ったカツレツ。
見た目が全然違います。

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せっかくなので熱いうちに、いただきます!

口に入れた途端、衣がサクッとして、柔らかいお肉がじゅわっとします。
しっかり下ごしらえして、ドイツのパン粉を使ったからこその美味しさ。
こんなカツレツが食べたかった!と感動です。

日本のパン粉で代用しても美味しいですが、やはり本場の食材には敵いません‥。
ペーターの「うまいカツレツだ」という言葉にも納得のお味です。

ライマーのパン粉は粒子が細かいので、柔らかいサクサク感があります。
トンカツを食べたときの、ザクザクという感じではなく細かいのです。

しっかり叩いた肉も、歯ごたえ良しで最高。
硬くはなく、箸で切れるほどではないけれど、ふわふわの柔らかさ。
じわじわと滴る肉汁がまた、ジューシーで美味しいです。

味付けは塩こしょうに、パルメザンチーズが少し入った程度。
出来上がりにはさっとレモンを振りました。

さすがにシンプルすぎるかとおもいきや、その完成度は高いです。
とても満足のいく味わいで、食が進むこと進むこと。

冷酷非道の連続殺人犯‥そんな恐ろしいモンスターとして生涯を終えるペーターは、とても哀れ。
しかしそんな彼にも、処刑されるその日まで食事は施されます。

たとえ残りの時間を宣告されても、その瞬間まで生きている限りは無駄な食事などありません。

死の直前に、「もう一皿食わせてもらえんかね?」とおかわりをねだる彼の心理状況は到底理解できません。
しかし、彼が美味しい物を美味しいと思えることが、彼が人間であることの証であり、最後の救いのような気がする‥そんな一品なのでした。

日本のトンカツとは根本的に違うけれど、興味本位でとんかつソースも試してみたかったです。
食べ終わったあとにそう思ったのが、今回唯一の後悔なのでした。

■□■□ 今回使用した調理アイテム ■□■□

第2弾 最期のカツレツ 前編

~食べるということ の巻~

もし明日が最期の食事になるならば‥何を食べたいですか?

アメリカでは、死刑囚が刑執行前に食べるものをリクエストできる「スペシャル・ミール」というシステムがあります。

ロブスターにステーキ、ミントアイス1リットル、食後に煙草を一服‥
今までの刑務所で決められた食事と違って、自分の好きなものを好きなだけ食べられる最期の瞬間、それがスペシャル・ミール。

刑務所からのはなむけなのでしょうが、状況が状況なだけにスペシャル・ミールは断られがちだそうで‥
しかし、そんな中でもしっかり好物をリクエストして平らげるモンスターもいるのです。

人々を震え上がらせた恐ろしい連続殺人犯は、その時一体どんな気持ちなのでしょう?

今回再現するのは、そんな殺人犯の最期の食事にスポットを当てた一品。
前回、肉ピラフの再現に挑戦した「ペーター・キュルテンの記録」から、ペーターが最期に食べたカツレツです。

「うまいカツレツだ」というセリフに、そして平然とおかわりをねだるペーターの姿が印象的。

処刑前の人間があんなにもリラックスできるものだろうか?と混乱しますが、このカツレツが美味しそうなのには納得。

という訳で、刑務所で提供されたカツレツに思い馳せ、いざ調理スタートです。

【用意するもの】
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豚ロース、バター、卵、小麦粉、パン粉

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そしてレモン

舞台はドイツということで、ドイツのカツレツであるシュニッツェルを作ります。
シュニッツェルの材料は本来「仔牛」ですが、より手頃な価格で鶏肉や豚肉を用いた庶民的なものもあります。

今回は刑務所で提供されたという所に着目して、仔牛より手頃な豚ロース。
味も日本のトンカツに近いので、美味しく出来るはず!と期待です。

ライマー カツレツ粉 200g

材料のなかで、1番大切なのはパン粉。

シュニッツェルの特徴は、硬いパンから出来た目のとても細かいパン粉。
日本製のパン粉は目が粗く、そのまま使うとただの薄いトンカツになってしまいます。

ネットでドイツ製のパン粉「ライマー」が購入できたので、今回は「ライマー」と「日本のパン粉をアレンジしたもの」両方作ってみることにしました。

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まずは日本のパン粉をアレンジしていきます。
すり鉢にパン粉を入れ、よくすり潰します。

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風味を良くする為に、パルメザンチーズとオレガノを加えます。

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これで出来上がり。
パン粉をとにかくすって細かくするのがポイントです。

ライマーのパン粉はそのままでも良し、お好みでパルメザンチーズとオレガノを加えても勿論良しです。

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次に、肉の下ごしらえに進みます。

シュニッツェル作りで2番目に大切なのが、この行程。
お肉をよく叩いて平べったくすることで、出来上がりが柔らかくなります。

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肉を叩く時は、肉に穴が開かないように気をつけながら叩いていきます。

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裏側も同じように叩いていきます。

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肉たたき器がない場合は、空き瓶や麺棒で代用ができます。
肉の上にラップを広げ、肉たたき器と同じく力を加減して叩いて下さい。

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叩いて叩いて、しばらくすると元の2倍ほどの大きさになります。
写真の左が叩き終わった肉、右が叩く前の肉です。

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叩き終えた肉は、塩をふって下味をつけます。
シュニッツェルはシンプルな味付けなので、ここでつける塩は多めに。

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胡椒もふりかけます。

ここからは、トンカツを作る時と同じ要領。

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塩こしょうした肉に、小麦粉をまぶしつけます。

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全体に均一になるように、手で馴染ませたり、ビニール袋に入れて振るなどします。

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小麦粉をつけ終わったら、卵液に浸します。

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卵液のつけ損ねがないように、両面よく浸します。

そして次はパン粉付け。
ライマーのパン粉と日本のパン粉のアレンジでは、パン粉を付けた時に何か違いは出るのでしょうか?
揚げ上がりの見た目や味にも、一体どんな違いが出るのか気になるところ。

次回、「おかわりをねだる心境」の巻に続きます。

■□■□ 今回使用した調理アイテム ■□■□

第1弾 サディスティックな肉ピラフ 後編

前篇の「29の日」の巻をお読みでない方は、まずはコチラから!

~お皿にこんもり‥何人分? の巻~

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生米が焦げないように、弱火で炒めること数分すると‥

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米が透き通ってきました。

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塩胡椒をふり、米の5~6割が透き通ってきたら火を止めます。

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あとは炊飯器に炒めた具を入れて‥

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上に牛肉を乗せます。
あまりにも肉だらけで、米と具がすっかり隠れてしまいました。

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あとはここに、お湯で溶かしたブイヨンを注ぎます。

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牛肉の臭みが心配な場合は、酒を一振り。

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蓋を閉めたら、炊飯器のスイッチオン!

肉ピラフは、具材を細かく切って炒めて、あとは炊くだけ。
簡単な手順ですが、この炊き上がるまでの時間がもどかしくもあります。

炒めたお米は無事に炊けるのか、肉は入れすぎて硬くなってないか‥
気になるけれど、炊き上がるのをじっと待つほかありません。

そして今回は白飯ではなくピラフなので、炊きあがってすぐに出来上がりではありません。

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炊き上がったら、バターをひとかけ落とします。

お米が無事に炊き上がったか目で見て確認したいところですが、ここではまだかき混ぜません。
そしてそのまま、混ぜずに蓋をして5分蒸らします。

バターやブイヨンの美味しそうな匂いが立ち込めます。
うずうずしながら待つ5分の、長いこと長いこと‥

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ようやく5分経過しました!
しゃもじで米を潰さないように、さっくりと混ぜます。

あとはお皿によそって、最後の仕上げ。

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黒胡椒を挽きます。

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適当にちぎったパセリを散らしたら‥

ビストロ・アニメシ 肉ピラフのレシピ ペーター・キュルテンの記録 手塚治虫の作品 ピラフの作り方
出来上がり!

より忠実に再現する為に、大皿にこんもり山盛りです。
ペーターは注文する時に「俺は肉ピラフ!」としか言っていませんが、これは明らかに二人前はありそう。

一人で食べるも良し、取り分けるのも良し。
とにかくこの美味しそうな匂いがたまらない!ということでいざ実食です。

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スプーンですくえば、肉、肉、肉‥
どこを取っても必ず肉にあたるのが、当たり前であっても嬉しいです。

さすがレストランというだけあって、食べごたえはありつつも上品にまとまっています。

ブイヨンにバター、にんにく、そしてブラックペッパーのそれぞれが良い味出してます。
お肉が細切りなので、沢山入っていても油っこくなくモリモリいけます。

心配していた無事にお米も、パサパサせず、ベタつかず、良い塩梅。
お米にしっかり味が染み込んでいて、一口一口が美味しいです。

しっかり加熱してあるので「血の滴るような」肉ではありませんが、存分に肉の旨みを活かしたこのピラフ。

作品の重い空気に馴染む、華やかさはなくともずっしりと存在感のある仕上がりとなりました。

シンプルで品の良い外観と、そこに隠れる肉の味‥
まさにプライド高き連続殺人犯の彼にこそ相応しい、そんな一品なのでした。

■□■□ 今回使用した調理アイテム ■□■□

第1弾 サディスティックな肉ピラフ 前編

~29の日 の巻~

今回作成するのは、ペーター・キュルテンの記録に登場する肉ピラフ。

ビストロ・アニメシでは、以前にも手塚治虫作品のブラック・ジャックに登場するピノコのデッカイたまご焼きを作成しました。

卵20個を使用したたまご焼きは、何ともコミカルでインパクトのあるもの。
実際に作っても楽しかったメニューでしたが‥

今回は作者は同じでも全くカラーの違うメニューになります。

時計仕掛けのりんご―The best 5 stories by Osamu Tezuka (秋田文庫)

ペーター・キュルテンの記録は、手塚治虫の短編集「時計仕掛けのりんご」に収録されています。
ドイツを恐怖に陥れた、実在する連続殺人鬼のお話。

「ドュッセルドルフの吸血鬼」の異名を持つ彼は、まさに人間の狂気の塊。
理性や道徳では到底処理しきれない異質さは、読み進めていけばいくほど心を重く、緊迫させます。

普段は愛妻家の紳士が、裏では世にも恐ろしい殺人鬼。
そんなこと誰も想像できることなく、おびただしい数の人間が殺められます。

そのまま捕まらなければ本望かと思いきや、自分ではなく他のものが捕まると「こんな馬鹿にこういった完全犯罪が出来るわけがない」とプライドが傷ついた様子。

この肉ピラフは、彼が今までに犯した罪を妻に話すシーンで登場します。
冗談ではなく、本当の本当に夫が連続殺人犯。

当然、妻はショックで食事どころではありませんが、当のペーターは肉ピラフを注文し、黙々と平らげる。

そんな異質さに包まれた、不気味で暗いものなのに‥どうにも、この肉ピラフは惹かれるものがあるのです。

蒸し暑さを忘れるような湿った暗いお話で、納涼アニメシはいかがでしょうか。

という訳で、いざ調理スタートです。

【用意するもの】
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玉ねぎ、パセリ、にんにく、マッシュルーム、ブイヨン、バター、牛脂、牛もも肉、お米

クレイジー ソルト 113g

そしてクレイジーソルトに‥

ブラックペッパーホール 100g 黒胡椒 コショウ スパイス ハーブ 香辛料 調味料 業務用

ブラックペッパー。

クレイジーソルトは、シンプルな塩でも美味しく出来ます。
ブラックペッパーも、スパイシーなのが苦手な場合は胡椒でOKです。

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お米はあらかじめ研いで、水切りして30分は置きます。
無洗米を使用する場合はそのままでOK。

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ブイヨンはお湯に入れて、溶かしておきます。
お湯はそのまま置いて冷まします。

01
牛もも肉を細かく切ります。

牛スネ肉なども、叩いて細かくすれば混ぜてしまって大丈夫。
この時に、軽く塩こしょうを振って下味をつけます。

012
フライパンを温め、牛脂を落とします。
牛肉は安いものでも、牛脂は良いものを使うと不思議と美味しくなります。

014
フライパンが十分に温まったら、牛肉を投下。

016
表面の色が変わるまで、中火~強火で炒めます。
あとで加熱するので、赤い部分が残っていても大丈夫。

017
火を止めたら、ザルに肉をあけて灰汁を落とします。

フライパンはここで一度洗います。

019
にんにくをみじん切りにして、油をひいたフライパンに入れて火にかけます。

020
焦げ付かないように気をつけ、香りがでるまで加熱します。

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同じように玉ねぎもみじん切りにして、にんにくの香りが出たらフライパンに加えます。

029
しんなりと、きつね色になるまで炒めます。

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玉ねぎを炒めている間に、マッシュルームをカット。
みじん切りでも良いですが、具がシンプルなので食感を楽しむようにスライスしてみました。

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フライパンにスライスしたマッシュルームを加えます。

そして次に‥

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生米を投入!

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日本食では、生米を炒めるという手順はなかなかありません。
なんだか、これで良いのかそわそわとしてしまいます。

焦げ付かないように弱火でゆっくりかき混ぜます。

一体、生米はどうなるのか?
パラパラを通り越して、バリバリの食感のピラフになってしまう心配はないのか!?

次回、「お皿にこんもり‥何人分?」の巻に続きます。

■□■□ 今回使用した調理アイテム ■□■□