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食堂水越のアジフライ定食 後篇

前篇の「普通が難しい」の巻をまだお読み出ない方はまずはコチラから!

〜サクッとしてナンボ! の巻〜

身がボソボソになってしまったものの、なんとかおろし終えたアジ。

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軽く塩こしょうを振ります。

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ビニール袋に薄力粉を入れて、空気を含んだ状態で口を掴んで軽く振ります。
全体にまんべんなく薄力粉がついたらOK。

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今回はあくまで「普通」のアジフライにこだわるので、特別なことはしません。
ただ、定食屋さんのアジフライといえば、サクッとした食感が命。

ということで、衣がサクッと揚がるよう溶き卵には酒を加えます。
アルコール分が油の中で余分な水分も一緒に飛ばすので、サクッと仕上がります。

フライの卵液のほか、天ぷらの衣にも酒は使えます。
※大量に入れると油はねが大変なので、量は加減して下さい。

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あとは、卵液にアジを浸して、卵液が滴らないように水気きり。

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パン粉を全体にまんべんなくつけます。

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あとは、180℃の油で揚げるだけ!

外側からキツネ色に染まっていくので、箸で触れてふちの衣がカリッと硬くなっていれば、ひっくり返します。

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反対側もこんがり揚げます。
揚げ物をしている時の音って、なんて景気の良い音なんでしょう!

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揚げ終えたフライはバットで余分な油を落とします。

その間に、ごはんをよそったり、お皿にパセリや千切りキャベツを盛って‥

前田未希 ビストロ・アニメシ ビストロアニメシ 惡の華のアジフライ
「ごゆっくりどうぞ」

3年ぶりの再会で耳にした仲村さんの言葉。
春日くんは、きっとその時、心ここにあらず。

揚げたてで、湯気の立つ味噌汁なんかも、多分見えていないでしょう。

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アジフライ定食といえば、食堂の定番。

その店によって、たっぷりのタルタルソースがかかっていたり、ミニトマトが彩りに乗っていたりとありますが、食堂水越のアジフライ定食はかなりシンプルです。

マストなごはんに味噌汁、千切りキャベツがあって、飾りはパセリのような物体のみ。
お新香があるのはありがたい。

そんな、そっけない位に普通の定食。
静かで気が抜けてしまいそうに普遍的で、穏やかで。

それが、その街と店、仲村さんの今を表すような気がしてしまって、なんだか悲しいような安心したような複雑な気分。

卓に醤油のようなものが確認できたので、お醤油で頂く感じかな?
私はアジフライはタルタルソースとウスターソースで食べるタイプですが、郷に入れば郷に従え。

フライの食感に、香ばしい醤油が染みこんで、ごはんが進みます。
たまには違う味で食べるのも悪くないな、と思いました。

静かな食堂のなかで、サクッサクッとアジフライを咀嚼する音だけが響く。

作中では食べる前に話に進展があるので、食事シーンはありません。
でも、なんだかあの空間に入り込むことができたような。

魚おろしの腕を上げなければ!と反省した一品なのでした。

食堂水越のアジフライ定食 前篇

〜普通が難しい の巻〜

今回作成するのは、惡の華に登場する食堂水越のアジフライ定食。

惡の華は、中学2年生の主人公・春日君の思春期特有の陰鬱とした葛藤と、異色のクラスメイト仲村さんとの出会いによって「普通」な生活に芽生える変化が描かれています。

春日くんは、まさに思春期の男子中学生らしく、内向的で自意識過剰で、根拠無い自己への思い込みをしていて、それでいて臆病で‥人との間に壁がある少年。
善悪で分けると、取り立てて悪いこともしていない大人しい子なので善よりなのでしょうが、その思想はとても面倒くさい。

全てが灰色で、パッとしない。
ハツラツとして馬鹿騒ぎをするクラスメイトを見下していて、今で言う「中二病」という感じの子です。

退屈で普通な生活への諦めと、どう折り合いをつけるか。
普通から抜けることを望んでいるのかすら分からないモヤモヤの中で過ごす毎日。

「うっせークソムシが」

クラスメイトの仲村さんが、教師に向けて放つ衝撃の一言。
彼女は春日くんと違って、「普通」の域を超えている少女。

無表情で冷め切っていて、教師でさえ圧倒させる威圧感。
何を考えているのか分からない問題児として周囲に疎まれています。

春日くんも彼女に接触しようとはしていませんでしたが、彼女に弱みを握られて以降、「普通」から「変態」へと向かう様々な背徳的行為を強いられていきます。

片思い相手の体操着を盗んで、それを着てその子とデートしたり‥
クラスメイトの女子すべての下着を盗んだり。

子どもの「度が過ぎた」ではフォローしきれない行為は、どんどんどんどん加速します。
結末はどうなるのか、まるで自分が「イケナイこと」をしているような背徳を感じながら読み進むのが心地良い作品。

思春期に危うい心を抱いたり犯罪的な妄想を抱くのは、大人になりかけて改めて「善悪」に立ち向かう上での正常な過程ではないでしょうか。
普通の人は、そこで妄想したことを行動に移そうと思わないから「正常」なのです。

道徳的なこととして理解できなくても、社会的存在としての責任感が芽生えて歯止めするから、普通は「私も思春期の時はそんなこと考えたりしたな」という笑い話で済ませるのです。

春日くんも社会的にアウトなことに手を染めるつもりはなかったのに、そのストッパーのない仲村さんに出会ったことで、悪い意味で開けちゃいます。

さて、こんなインモラルな展開のなかのどこに、アジフライ定食が登場するか。
それは、二人が行く所まで行ったあとの話。

ある騒動を起こして以降、春日くんは引っ越し、仲村さんとは一切連絡が途絶えます。
それでも彼女にもう一度会いたい。会って確かめたいことがある。

そして騒動から3年後、彼女の母が営む食堂を探し当て、注文したのがアジフライ定食なのです。

千葉の海辺に佇む食堂水越は、昔ながらのこじんまりとして、寂れた雰囲気。
白米に味噌汁、キャベツにアジフライ、そしてお新香。

春日くん、再会の緊張で味なんて分からないかもしれません。
しかし、その地味で普通な感じが、とても惹かれます。

ということで、調理スタートです!

【用意するもの】
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まずはアジ。

海沿いの店なので、きっと魚も近場で仕入れているはず。
ということで、捌く所から始めます。

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包丁を頭の方向から尾へ、こそいでウロコを取ります。

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次に、尾の近くにある堅い「ぜいご」を、尾から頭の方向へ削ぎ取ります。

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次は頭を切り落とします。
胸びれの付け根に包丁をあて、包丁を真ん中まで、斜めに入れます。

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反対側からも同じように包丁を入れれば、簡単に切り落とせます。

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背びれや尻びれをキッチンばさみで切ります。
腹に切り込みを入れ、はらわたを取り出します。

包丁でも勿論OKですが、堅いので私はキッチンばさみ愛用です。

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はらわたを出したら、水洗いします。

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腹の切り込みを広げるように、包丁で尾びれまで切って、身を広げます。

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中骨、腹骨の部分を包丁でおろします。下手くそですが、ご愛嬌‥。

あとは、ピンセットで根気よく小骨を抜けば山は超えたも同然です!

お恥ずかしいことに、魚をおろすのがかなり下手なので、とても気が張りました。
でも、お刺身と違ってフライはそんな人にも嬉しい一品。
多少身がボソボソになってしまっても、衣がつけば分かりません!お魚フライ万歳!

ということで、ここから先は気楽で楽しい作業!
次回、「サクッとしてナンボ!」の巻に続きます。