カテゴリー別アーカイブ: 森薫

シャーリー与太話

ビストロ・アニメシ 前田未希 森薫 シャーリーの食べ物 ミセス・ピックが頼むジャムサンド

先日、シャーリーに登場するカフェ モナ・リザのジャムサンドを再現しました。

果汁の爽やかさが残る濃厚なブルーベリージャムに、ほのかに香るバターを塗って、カリッと焼いたパンでサンドする…
そりゃ、おいしくない訳がありません。

ミルクティー、ストレートティー、どちらとの相性も最高で、ついつい「もう1枚」と気軽に焼いては食べてしまうという食いしん坊なティータイムとなりました。

今回は、そんなジャムサンドが登場する回から、ちょっとした与太話。

再現をすると決めたものに関しては、そのストーリーに何かヒントがないか、1コマ1コマをよく見直します。

そして気になったのが、ミセス・ピックが紅茶をすするシーン。

彼女が手にしているのはカップと、ソーサー。

そこまでは普通ですが、なんと意外なことに彼女はソーサーからすすって飲んでいるではありませんか!

「どういうこと??」と思って調べると、その昔、ソーサーの本来の役割って、「熱い紅茶を冷まして適温で飲むためのもの」だったそう。

ただの受け皿ではなく、先人はソーサーで飲んでいたのですね。

本当に再現をしなければ気づかなかったかもしれない、ほんのさりげない1コマ。
いつも森薫先生の作品は背景やしきたり、食文化がとても忠実で圧倒されるのですが、今回も「さすが!」と思わされる一件でした。

せっかくの細やかな世界、これからも少しでも取りこぼさずに楽しみたいものです。

余談ですが、イギリスのサンドイッチといえば有名な「マーマイト」。
今回のジャムの候補にはあったのですが、さすがにジャムではないか、ということで候補から外れることとなりました。

でもいつか食べてみたい。

色々と刺激になった回でした。

ミセス・ピックの定番。モナ・リザのジャムサンド 後編

前篇の「20世紀初頭のサンドイッチを考える」の巻をまだお読み出ない方はまずはコチラから!

〜サンドする中身が重要! の巻〜

032
イギリスパン作りもいよいよ佳境。

200度に予熱したオーブンで焼くこと30分。
焼き上がりが近づくにつれ、香ばしい小麦の香りがしてきました。

15分経過くらいからは時折焼き色を見て、焦げ付きそうな場合はアルミホイルを上にかぶせると安心です。

焼き上がったパンを、オーブンからそっと取り出すと‥

034
こんがり良い感じのきつね色!

型からスムーズに取り出すために、型ごと20cmほどの高さから落とします。

037
型から取り出して、粗熱をとります。

001
すぐに食べない場合は、熱冷ましをした後にラップで全体を包み、風通しの良い常温で保存します。

さて、パンの用意ができたのでお次はジャムの部分。

なんのジャムなのかは、作中では確認ができません。
ただ、チラッと映るサンドの中身は、色の濃いタイプ。少なくともマーマレードやリンゴではなさそうです。

イギリスで伝統的なジャムといえば、ベリー系。
そしてミセス・ピックの疲れて目がしょぼしょぼしている感じが印象的だったので、目に良いブルーベリーをチョイスしてみました。

【用意するもの】
005
ブルーベリー、クランベリー、グラニュー糖、レモン

ブルーベリーのジャムは、ブルーベリーと砂糖、レモンがあれば作れちゃいます。
下処理もなく、ブルーベリーは冷凍でもフレッシュでも良いのでとても簡単。

今回は味のアクセントにクランベリーも加えました。

009
鍋にブルーベリーとクランベリーを入れ、火にかけます。
フレッシュブルーベリーの場合は弱火、冷凍の場合は中火が目安です。

012
焦げ付かないようにじっくり混ぜます。

014
分量にもよりますが、10分ほど煮詰めると実から水分がでてとろっとします。

016
グラニュー糖、レモン、塩ひとつまみを入れて一煮立ち。

023
沸騰したら出来上がりです。
作りたてはサラッとしていますが、冷めると固まります。
糖度を高くしたい場合は、好みの甘さになるまで煮詰めてください。

022
保存する瓶は、煮沸消毒しておきましょう。

025
瓶に注いで、ブルーベリージャムの出来上がり!

026
さあ、材料は出揃いました!
イギリスパンは形が崩れないよう、横に倒して下の角から包丁をいれます。

027
薄くスライスするのがイギリス流。

030
トースターでカリッと焼きます。

032
バターを全体にまんべんなくぬり、

033
作りたてのジャムを塗ります。

036
全体にたっぷり!

038
もう1枚のパンでサンドして、包丁で斜めにカット。

ビストロ・アニメシ STUDIORACCONTO 前田未希 シャーリーのジャムサンド イギリスのサンドイッチ ブルーベリージャムの作り方 漫画の料理再現
たっぷりのミルクの紅茶とともに、いただきます!

051
パンは日本の食パンよりあっさりとした味で、ほんのりとした塩気が良い感じ。
そこに濃厚なバターとブルーベリージャムの味がたまりません!

ジャムは実自体が甘いものだったので、砂糖は少なめにしたのですが、十分な甘さ。
むしろ、砂糖が邪魔していないので果実の濃厚かつ爽やかな味が生かされていています。

ブルーベリーの香りの中に、ほのかにクランベリーが混じっているのがまたくどくなくて良いのかも。

薄くスライスしてトーストしたパンは、ザクッとした食感が心地よいです。
今までジャムサンドというとトーストせずに作っていたのですが、トーストしたパンのほうが断然美味しい!
癖になりそうです。

そしてまた、ミルクティーとの相性が良いったらありません。
とても良いティータイムとなりました。

ストレス解消には、おしゃべりと美味しいもの。
時間をかけてじっくりと愚痴をこぼし、美味しいものを口に運ぶ。

ミセス・ピックが教えてくれた、昔から変わらないストレス発散方法。
お店を出る頃にはリラックスしていること間違いない一品です!

しかし、これにプラスしてかぼちゃタルトとは…
ミセス・ピックは甘党?それとも、余裕で食べられちゃうものなのかな?

今度はかぼちゃタルトも合わせて作りたいものです。
ごちそうさまでした。

ミセス・ピックの定番。モナ・リザのジャムサンド 前編

〜20世紀初頭のサンドイッチを考える の巻〜

今回作成するのは、漫画「シャーリー」に登場するジャムサンド。

以前もシャーリーからはベネットの好物・鳩のパテを再現しましたが、この作品にはまだまだ魅力の食べ物が登場します。

森薫さんの作品は書き込みが本当に細やかで、人間の丸みのあるフォルムは触れると柔らかそう。
その瞳は、瞬きをしたまつげの音が聞こえそうなくらいの美しい世界観です。

決して写実性にこだわってはいないのに、見るものの五感に濃厚に印象を与えます。
時間の流れ、それとない空間の描写が抜群で、それでいて内容も面白いというのだから素晴らしいです。

それらは人物ややりとり以外にも言えることで、紅茶を淹れるシーンはお湯を注ぐ音、ティースプーンをカン、と鳴らす音、香りが立ってくるまで想像させるくらいです。

そんな作者さんの描く世界ですから、登場する食べ物が食べたくならないわけがないのです。

このジャムサンドには、幸か不幸か作るシーンはありません。
カフェ「モナ・リザ」の常連さん、ミセス・ピックが愚痴をこぼすシーンで、彼女が提供されたものとしてちらり、と出る程度です。

ミセス・ピックは3ヶ月に1度訪れるお客様。
決まってカボチャのパイとジャムサンドを注文し、たっぷりと時間をかけてお嫁さんやご近所、親戚の愚痴を並べる‥という一癖あるお方です。

性根は悪くないご婦人のようで、品はありますがストレス解消にきているので、話がとにかく長く、くどい。
そんな方がじっくりとおしゃべりのお供にする定番の味、気になりませんか?

ジャムサンド、というとひねりのないもののように感じますが、それは大間違い!
だって舞台はメイドが当たり前に存在していた、20世紀初頭の英国、エドワード朝時代なのですから。

電気や車が出始めた頃の、イギリスのカフェのジャムサンド!
これは是が非でも作って食べたい!

ということで、いざ調理スタートです。

【用意するもの】
002
強力粉、ドライイースト、砂糖、塩、スキムミルク、無縁バター、水
まずはイギリスパン作り!

作品の他の回でサンドイッチを作るシーンがあるのですが、そこを確認するとパンはイングリッシュマフィンではなく食パン寄りのもの。
イギリスのサンドイッチということなので、パンは少し小ぶりでふんわりとした山形のイギリスパンを作ることにしてみました。

003
ドライイーストは水と砂糖少量をいれて、予備発酵させておきます。

004
10分ほど経つと、イースト菌が発酵をしてぶくぶく泡が立ってきます。

007
イーストが泡立ったら、水ごとボウルにいれ、すべての材料を加えます。

008
生地がひとかたまりになるまでよく混ぜます。

010
ある程度まとまったら、生地を台に打ち付けます。

012
縦長になった生地を、

013
二つ折りします。

014
90度角度を変えて、また打ち付けて、二つ折りにして…と10分ほど繰り返します。

016
表面がすべらかになって、グルテンの膜が確認できたらOK!

019
サラダ油を薄く塗ったボウルに生地をいれ、乾燥防止のラップをして1次発酵させます。

021
2倍の大きさに膨らんだら発酵完了。
生地の湿度や環境にもより前後しますが、35〜40度の環境で40分が目安です。

022
生地を3等分にカットします。

023
生地を伸ばして、ガス抜きをします。

025
ガス抜きしたら、麺棒で正方形に伸ばします。

027
両端を内側に折り込み、

029
手前からクルクルっと巻きます。
巻き終わりの端は下にくるようにします。

ここで生地に濡れ布巾をかけて、10分ほどベンチタイム。

024
パン型の内側にサラダ油を塗り、

031
丸めた生地を、写真の向きにして、パン型にいれます。

そうして再び発酵。
2次発酵は、型から山がちょっと出るくらい膨らんだら、が目安。

032
なかなか、フカっとして良さそうな見た目になりました。

033
乾燥防止と艶出しのために、表面に軽く牛乳を塗ります。

さて!あとはこれを200度に温めたオーブンで焼くだけ。
無事に山が綺麗に盛り上がると良いのですが…

次回、「サンドする中身が重要!」の巻に続きます。

ベネットの好物・鳩のパテ、マッシュルーム入り 後篇

前篇の「鳩に初挑戦!」の巻をまだお読み出ない方はまずはコチラから!

〜食べる直前まで楽しい の巻〜

鳩を捌いて、ミンチにして、他の食材と混ぜて‥
いよいよ作業もクライマックスへと近づいていきます。

046
パウンド型に、ベーコンを少しずつ重なるようにして並べていきます。

047
生地の1/3の量を、ベーコンの上に伸ばしていきます。

048
入れ終えたら、マッシュルームを等間隔で埋め込んでいきます。

050
残りの2/3を加えて、生地が平らになるように慣らします。

051
生地を入れ終えたら、ベーコンを1枚1枚内側に閉じていきます。

052
こんな感じ。

056
最後に、香り付け用のローリエとローズマリーを上に散りばめます。

057
香りが全体に行き渡るよう、アルミホイルで全体を包みます。

059
天板に水を注ぎ、190℃に熱したオーブンで60〜90分、蒸し焼きにします。

温度や時間は使用するオーブンや気候によって変化します。

061
焼き上がりに竹串を刺して、穴から肉汁が溢れたらOK。

064
アルミホイルに包みなおして、重しを乗せてしばらく生地を落ち着かせます。

粗熱が取れたら、冷蔵庫で最低1日は寝かせるのがパテのコツ。
ミートローフなどは焼きたてが美味しいですが、パテは冷ましてじっくり熟成します。

鶏肉や豚肉なら分かるけれども、なんて言ったって今回は鳩肉。
フランスの高級食材はさぞ美味しかろうと、最高のコンディションで頂くべく、ちゃんと1日以上寝かせましたとも。

そして感動のご対面!
ベネットさんのリクエストに応えて入れたマッシュルームが綺麗に入っているか、それは切らないと分かりません。

ワクワクしながら切ってみると‥

002
良い感じに仕上がっています。これはテンションが上がります。

いそいそと前菜らしい盛り合わせのセットをして‥

009
鳩のパテ、マッシュルーム入りの出来上がりです。

これはお洒落な一皿が出来たぞとご機嫌になったのですが、大事なのはここから。
いよいよ鳩のパテ、実食です!

ここに辿り着くまで、なんて長かったことでしょう。
鳩を仕入れて、軽く捌くところから始めた、そんなパテ。味に思いを巡らせ胸を躍らせた、パテ。

香りはニンニクやエシャロットが強く、鳩肉の臭さというのは感じません。
良かった、臭み抜きも出来ている。これはさぞ美味しかろう。

そう思って安堵し、パテを口に入れた途端でした。

無理。

食材に申し訳ないのですが、びっくりするくらい‥

オブラートに包んで表現するならば、「野性味溢れる味」な鳩肉。
ハッキリ表現すると、血。鉄の味がする肉のような謎の恐ろしいもの。

鶏や豚、牛のレバーは食べられます。
むしろ好物の類なので、どうしてこんなにも鳩の味に拒否反応を起こすのかは分からないのですが‥

二口目にいけないくらい、ショックな味です。

やはり、慣れ親しんでいない食べ物だからでしょうか?
それとも、単純に私の料理技術が至らなかったのかもしれません。

鳩肉を食べたことのある人の感想は、「美味しかった」というものが多いので、あくまで私が合わなかっただけかもしれません。

美味しいという事前情報があったので、私はとても楽しみにしていました。
まさかこんなにも苦手な味だなんて、残念極まりないです。

一体、誰がこの結末を予想できたでしょう?

お仕事で失敗をしてしまったシャーリー並に、心にダメージがあります。

悔しい!
いつか、本場で鳩肉を食べてリベンジしなければ。

久方ぶりに、心に謎の火がついた一品なのでした。