前篇の「パンなのか、ケーキなのか、クッキーなのか?」の巻をまだお読み出ない方はまずはコチラから!
〜ウサギさんの型がないの の巻〜
クッキー生地を作り終え、冷蔵庫で寝かせること1時間。
お次はいよいよ型取りです!
絵本の挿絵にあったように、小麦粉を生地にふりかけて打ち粉にし、めん棒で伸ばします。
厚さは5〜7㎜目安。
そしてここが今回のクッキーの最難関。
アナグマとウサギの奥さんが作っているそれは、可愛らしいウサギの形をしているのです。
しかし、ピッタリくるクッキー型がなかなか見当たりません。
どうしたものかと考えあぐねましたが、結局挿絵のウサギ型を見つつ、クッキングシートで大まかな雰囲気をつかんだ型紙を作成。
生地の上にそれを貼って、ナイフでくり抜きました。
目は箸を刺せば出来上がり。
地道な作業を黙々と続け、
ウサギを増やします。
すべて型取りを終えたら、余熱済みのオーブンで15分ほど焼きます。
お菓子作りはこの焼き上がりを待つ瞬間が楽しいです。
焼き上がりが近づくにつれ、フワッと甘い香りが立って待ち遠しいったらない。
焼き上がりはほんの少し柔らかいですが、バットで冷ますとちょうどよくなります。
クッキーはくれぐれも焼きすぎない、というのが訓戒です。
余熱をとったら、出来上がり。
山盛りウサギになりました。
ウサギさん、わりと絵本に似せることができたかな?
全く計算していなかったのですが、ふちがほんのりと濃い焼き色になって、野うさぎみたいで可愛くなりました。
シナモンの香りに、三温糖とバターのまろみがかかった香り。
しょうがパウダーを多めに入れたので、味がとがってしまわないかちょっと心配でした。
いよいよ、まだほんのり温かいクッキーを、ひとくち。
外側は、カリッコリっという音がなるしっかりとしたクッキー。
でも、硬いわけではありません。中がほのかにしっとりとしてほろけて、ちょうど良い感じ。
うん、美味しいです。
シナモンとしょうがの香り高く、それでいてバターがそのとがりを抑えていて優しくまとまっています。
イギリスの伝統を感じる、ほっとするけれども洗練された味。
コーヒーや紅茶にぴったりのクッキーです。
薄茶色のウサギさんクッキー、可愛らしくて食べるのが勿体ないなぁと思いつつ、素朴で後引きます。
早々に食べつくしてしまいました。
レシピがアナグマさんからウサギの奥さんへと受け継がれ、アナグマさんが遠いところに行っても、レシピを通じて思い出して偲ぶことができる。
「皆誰にも、何かしら、アナグマの想い出がありました。
アナグマは、一人一人に、別れた後でも、
宝物となるような、知恵や工夫を残してくれたのです。
皆はそれで、互いに助け合うこともできました。」
まさに作中の言葉の通りなんだろうな、と感じました。
最後の雪が消えて、皆の悲しみも癒えたころ。
春の訪れとともに、アナグマを思い出して皆で談笑するシーンを想像します。
暖かな陽気につられて、外でお茶会なんかして、そんな時、このクッキーがそこにありますように。
しんみりしつつ、良い気分になる一品なのでした。