〜中国?中東?どこのパン? の巻〜
今回作成するのは、ディズニー・アニメーションのアラジンに登場する一品。
「アラジン」は、砂漠のなかにある国、アグラバーが舞台。
アグラバーは架空の国ですが、服装や雰囲気からアラビアンな中東の雰囲気が描かれていることがわかります。
主人公は、貧しく盗みを働いて暮らすアラジン。
冒頭の登場シーンでは、衛兵たちにパンを盗んだことで追われる姿が描かれています。
生きるために盗むことを選んだアラジンですが、優しい心はなくしていません。
衛兵たちから逃れ、パンにありつこうとした時も、貧しい孤児を見かけて、パンを全て与えてしまいます。
アラジンの相棒、猿のアブーは、自分は分けないぞ、自分で食べると言わんばかりに一口頬張りますが、子どもたちのお腹をすかせた顔に根負けしてパンを与えます。
その時の、素朴そうなパンをモッシャモッシャと頬張る描写がなんだか美味しそうで良いんです。
そう!この時のパンが、今回の再現する一品。
細長くて、フランスパンよりも小ぶりで、コッペパンにしては大きいパン。
2つに割ったところを確認すると、中には何も入っておらず、生地はほんのりと茶色です。
味はするのだろうか?それとも、国の貧富の差から考えて質素な出来なのだろうか?
気になって調べてみると、そもそもアラジンのルーツは意外なことばかりで面白いです。
アラジンの元となったのは、千夜一夜物語に収録されている「アラジンと魔法のランプ」ですが、この物語の舞台はなんと中国!
アラジンは中国人なのです。
実際に、「アラジンと魔法のランプ」の挿絵には、中国人よりのイメージで描かれたアラジンが存在します。
時代劇で見かけるような、頭にかぶる菅笠に、日本や中国のような着物を身にまとう、さっぱりとした顔のアラジン。
そして悪役の魔法使いは中国から遠く北アフリカのモロッコ周辺からやってきた設定。
物語の中の宮殿は、とんでもない距離をぶっ飛んでいるのです。
物語そのものはイスラム圏の中東で描かれたものですが、主人公のアラジンは中国人で、悪者は北アフリカ系で、舞台は世界中。壮大なスケールなことがわかりました。
確かに、ディズニー・アニメーションのアラジンでも、主人公のアラジンがジャスミン王女と魔法の絨毯でデートする時、中国のような雰囲気の場所で腰を下ろすシーンもあります。
ということで、この何気ないパンだって、ありとあらゆるルーツがミックスされたものに思えてくるわけです。
中国のパンの顔色も残しつつ、中東のパンの素朴さもあり、アラビアンなエスニックさもあり‥
そんなパンが食べたい!
ということで、アラジンの盗んだパン、調理スタートです!
【用意するもの】
ブラン、強力粉、シナモン、黒糖、ドライイースト、ぬるま湯、塩
中東のパンは全粒粉やブランを用いたシンプルなものが多いので、ブランと強力粉を混ぜあわせて使用します。
甘みは黒糖にして、中国の黒糖パンをイメージ。そしてこれで焼き上がった生地の中まで茶色にする計画。
そしてシナモンでエスニックさ演出です。
まずは黒糖をぬるま湯に入れて溶かします。
ドライイーストも加えて、イースト菌の活性化を促進。
その他の粉類を全てボウルに入れて、泡立て器でよくかき混ぜます。
混ぜ終えた粉類に、黒糖とイーストを溶かしたぬるま湯を注ぎ入れます。
ひとかたまりになるまで、よく捏ねます。
全体の水分量が均一になるように、生地がまとまってから10分ほど捏ねます。
生地を混ぜ終えたら、生地をぴんと張るようにして丸めます。
乾燥しないようにラップ等を被せて、2倍位の大きさに膨らむまで一次発酵。
一次発酵終了。
ガス抜きをし、20分ほど生地を寝かせてベンチタイムです。
シナモンと黒糖の香りで、思った以上にエスニック感が出ています。
ブランの配合を多めにしたので、仕上がりはハード系よりになるかもしれません。
一体どんなパンが出来上がるのかな?
次回、「酸っぱくて、甘くて、素朴で」の巻に続きます。
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